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オペラの音楽研究入門

2015.11.26オペラの音楽研究入門

オペラの音楽の意味について考えてみましょう。

ここではモーツアルトの「ドン・ジョヴァンニ」からです。

序曲が終わりいよいよ本編に入ろうとする最初の場面でのこと、初めは従者レポレロの歌愚痴っぽい歌から始まりますが、先ずその前奏に注意してください。何かによじ登ろうとする音楽に続いていきなり滑り落ちるような音楽が始まります。その音楽の意味はレポレロの歌う言葉でよく理解できます。この前奏こそがオペラにおける状況の説明と印象付けになります。そしてレポレロの歌から先ほどの前奏の意味が理解出来ます。よじ登るような音楽と滑り落ちるような音楽からレポレロがドン・ジョヴァンニが女性の部屋に忍び込み、逃げやすくするために梯子を支えさせられて滑り落ちる様子を表した音楽が理解できます。

それに続いて侵入してきた不審者(ドン・ジョヴァンニ)を追いかけて来たドンナ・アンナとの騒ぎに駆け付けたアンナの父の騎士長との決闘の時の事、剣と剣を打ち合う音に続いてドン・ジョヴァンニの剣が騎士長をめがけてスルスルッと伸びるような音楽と、その瞬間倒れる騎士長。と、音楽によってこの場の決闘がいかに為されたかが解るような状況音楽的表現へと進化していきます。さらに当時の劇場設備技術の曖昧さ(当時の舞台照明はろうそくのみの暗いものであった)を繕う音楽の必要性に駆られていたモーツアルトはその場その場にに見合った音楽でドラマの推移をよりわかり易いものにしていたと考えられます。

こんな創作努力は歴代のオペラ作曲家たちなら当り前の事と考えられます。さらに当時の歌手たちは演技の技術も幅も狭く、ろうそくの前から動けずの歌手たちからすると必要な作曲行為だと言えます。この事が功を奏してかモーツアルト以後のオペラ作曲家達は音楽による人物描写。・場面描写に音楽を深く結びつけて今日に至っています。

そしてドン・ジョヴァンニが村娘のツェルリ—ナを口説く場面でのこと、ひつこく誘うドン・ジョヴァンニの言葉に揺れ動く乙女の境地を16分音符で上下しながら下降するメロディ-には、揺れ動く心の悩みなどを音楽で表すモーツアルトの天才的劇作側面を感じ取れます。このモーツアルトにして、この事自体オペラが人類最高の文化遺産文化の礎となったのです。

無作為の天才モーツアルト!オペラの申し子モーツアルト!万歳モーツアルト!そして音楽に乾杯!

 


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